廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
下水汚泥焼却灰を原料とした熔成リン酸質肥料製造における各種成分比と溶融条件の影響
岩井 良博定塚 徹治小林 剛亀屋 隆志三宅 祐一小松 貴司高木 禎史三品 文雄
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2009 年 20 巻 3 号 p. 203-216

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抄録
下水汚泥焼却灰を原料とした熔成リン酸質肥料の製造可能性を検討するため,全国14ヶ所の下水汚泥焼却灰26種類の成分について調査し,主要成分や有害成分濃度を明らかにした。下水汚泥焼却灰は,熔成リン酸質肥料原料として利用可能であること,有害成分の一部は肥料取締法公定規格で規定する数値より高いものもあること,肥料として利用する場合には有害成分の除去が必要である焼却灰が多いことを明らかとした。2種類の焼却灰を用いて電気炉 (マッフル炉) により試作した熔成リン酸質肥料は,MgOとCaOを添加して任意の成分比で還元溶融処理することで,P2O5およびMgOのク溶率を高めることができ,肥料として効率的に利用できる可能性を示した。また,この成分比は市販の熔成リン肥製造時の最適成分比とほぼ同じ比率であった。有害成分は,概ね溶融過程で含有量が減少し,基準値を下回るものがほとんどであることが明らかとなった。
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© 2009 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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