抄録
鋳物製造工程から排出される使用済み鋳物砂について,高温高圧水による再生および砂表面の改質効果を検討した。炭素が1.2wt%,窒素が0.065wt%付着している使用済み鋳物砂を,水の臨界点以下である300℃,8.6MPaで,反応時間を60分,液固比を20として反応させたところ,炭素を30wt%,窒素を64wt%除去することができた。さらに,添加剤として過酸化水素を添加することにより,砂表面の炭素は65wt%,窒素は完全に除去することができた。一方,超臨界状態である450℃,40MPaでの反応では,添加剤を加えなかった場合,300℃,8.6MPaの場合に比べ,炭素と窒素の除去率に差は認められなかった。しかし,添加剤を加えた場合には,炭素を88wt%まで除去することができた。また,新砂を超臨界水で反応させたところ,砂表面の酸性度が約二倍に上昇したが,酸化剤の添加によるさらなる酸性度の上昇は認められなかった。