本研究では,電気・電子機器使用のエネルギー消費や廃棄物の発生・再資源化が,消費者の選択行動の結果として現れることに着目し,その違いが製品フローおよび環境負荷排出に与える影響を評価した。上海市周辺の長江中下流域1市5省を対象に,アンケート調査および文献調査により,将来の消費形態として「傾向延長型」・「積極買換型」・「使い回し型」・「高品質堅実型」の4つを抽出し,2006~2030年の廃棄物発生量およびCO2排出量を比較した。その結果,2030年において両指標ともに「高品質堅実型」が最も優れていたが,「積極買換型」と「使い回し型」にトレードオフが生じることがわかった。また,生活水準への影響も考慮した場合,「高品質堅実型」と「使い回し型」を組み合わせて適用することで,資源消費抑制・有害物質汚染の低減・経済格差是正等の多面的な目的に考慮した製品循環システムが構築される可能性があることが示唆された。