廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
大正末から昭和初期にかけての東京府渋谷町と目黒町のごみ戦争
――迷惑施設の立地に関する考察――
溝入 茂
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2012 年 23 巻 3 号 p. 125-137

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抄録

関東大震災による東京の人口移動により,東京市 (当時) の周辺町ではごみ・し尿処理が大きな課題になり,各町は競ってごみ処理体制の充実を図った。その中で1925年から26年にかけて起きたのが東京府目黒町と渋谷町の間のごみ戦争である。渋谷町が町のごみ焼却場を隣の目黒町に設置する計画を実行に移したため,目黒町の住民が反発し,遂には警察による逮捕騒ぎまで起きた。最終的には両町の間で妥協が成立し,渋谷町ごみ焼却場は目黒町に設置されたが,操業後もばい煙問題は解決できず,1932年の東京市との合併にあわせ廃止された。この経過を新たに見つかった資料を加えながら論じるとともに,迷惑施設の設置に関して考察した。

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© 2012 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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