2013 年 24 巻 5 号 p. 71-78
これまで主に有機物を対象として検討されてきた超臨界水酸化反応を用いた廃棄物処理を有機・無機混合廃棄物に適用すると,物性変化に伴う溶解特性の変化と迅速な酸化分解反応を利用することで有機物を選択的に分解除去し,固体として残存する無機物を回収する分離技術としての応用が期待できる。本研究では有機・無機混合廃棄物として使用済みX線フィルムに着目し,無機有価物として含まれる金属AgおよびAgBrの回収に関する実験的検討を行った。その結果,400℃,25MPaの条件において7minの処理でAgおよびAgBrと有機物は完全に分離され,30minの処理で有機物はCO2にまで酸化された。また,この反応によるAgおよびAgBrから酸化物の生成は確認されなかった。AgBrはテレフタル酸の分解を触媒し加速する一方,水中へ溶出することでAg化合物の回収率が低下する現象が確認された。