2013 年 24 巻 5 号 p. 79-87
生ごみの直接埋立が主体である開発途上国では,準好気性埋立構造における生ごみ由来の浸出水量は,埋立条件によっては,降水由来の浸出水量と比較して無視できないと考えられる。そこで本研究では,生ごみを充填して行った準好気性埋立構造の大型埋立実験槽の物質収支を考慮して,埋立廃棄物層内部の主要な物質変換である有機物生物分解過程に関する既往の知見に基づき,化学量論的に関連する物質量 (H2O等) の推定法を考案し,この推定法に基づいて実験データを再解析した。その結果,生ごみとともに運び込まれた水分に生ごみの生物分解に伴う生成水が加わった保有水が,埋立廃棄物層の沈下に伴って浸出水となる浸出水発生メカニズムを明らかにすることができた。また,降水由来の浸出水量と生ごみ由来の浸出水量は,一定の条件下においては,それぞれ独立して算出することが可能であることを明らかにすることができた。