廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
バングラデシュ・チッタゴンにおける船舶リサイクル産業
――船舶解体由来のマテリアル・フロー分析――
小出 瑠スジャウディン モハマド小松 孝裕ムシャラフ ホセイン モハマド東田 啓作所 千晴村上 進亮
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2016 年 27 巻 p. 161-175

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抄録
バングラデシュ・チッタゴンにおける船舶解体に関する資源性の観点からの特徴を明らかにすべく,船舶から回収されるすべての鉄鋼・非鉄素材,部品,機器,消耗品に関するマテリアル・フロー分析を行った。2010年度には100隻 (135万軽荷排水トン:(LDT)) の大型船舶が解体され,鉄鋼素材117万 tonnes,機械・電子機器・金属製品・艤装品類10万 tonnes を含むマテリアルが回収され,このうち約 89 % がリユースまたはリサイクルされた。特に簡単な選別,加工,修理を経たリユース率は約 22 % に上り,なかでも造船・商船業による「船舶 to 船舶」のリユース率は全体の約 8 % に達する。一方,有害物質管理については,2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約 (シップリサイクル条約) の発効に向けた改善がみられるものの,未だに不十分な現状が現地調査により確認された。さらに,室蘭において2010年に行われた船舶解体実証実験との比較を通じ,先進国・途上国における船舶解体の特徴の違いを考察した。
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© 2016 Japan Society of Material Cycles and Waste Management
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