抄録
焼却主灰のオンサイトでの安定化促進を目的として,散水処理による塩類等の洗い出しと組み合わせることが可能なPb不溶化処理の検討を行った。不溶化処理として,炭酸水素ナトリウム (SHC),リン酸 (PA),有機キレート (OC) の水溶液を散布する「薬液散布処理」ならびに CO2 ガスを用いた「促進炭酸化処理」について,カラム試験により検証した。
薬液散布処理では,すべての薬剤で Pb 不溶化効果は認められたが,SHC 区,PA 区は主灰中の Ca とも反応が進み,カラム下層での効果の低減が示唆された。一方,OC 区では全層で Pb 濃度は 0.01 mg L-1 まで低下することが明らかになった。促進炭酸化処理では,CO2 供給量 30~40 g kgDW-1 程度を閾値に Pb 濃度の低下がみられた。CO2 濃度を 100 % から 10 % に変えた場合でも,ほぼ同等の効果が確認された。また散水処理と炭酸化処理の順番についても,その影響を調査した。