2020 年 31 巻 p. 131-139
近年,管理型最終処分場においては廃石膏ボードの搬入量が増加しており,その埋立管理方法によっては,廃石膏ボード由来の H2S ガスが発生し,問題となってきている。
本稿では,H2S ガス発生対策手法として,これまでの研究で層内に通気し好気的にする効果および最少通気量について確認した上で,埋立中および終了後に継続して通気を行うことは経済的にも困難であることから,層厚制限による好気的条件の確保による発生抑制と,洗い出し機能向上効果による有機物濃度低減を図り,H2S ガス濃度制御が可能であるか検討を行った。その結果,層厚を 1 m 程度にすることにより H2S ガス発生抑制が可能であり,層内を好気的状態に改善することは可能であることが確認できた。しかし,層内では温度条件,少量の有機物の存在により H2S ガスが発生滞留するため,必要に応じて通気を行うことにより,H2S ガスの濃度を制御できることがわかった。