抄録
焼却主灰のリサイクルに向けた促進炭酸化処理は,CO2 排出削減も同時に可能である。本研究では,この技術の社会実装を目指し,CO2 分離回収設備を有する佐賀市清掃工場にて現地試験を行った。試験は,同清掃工場からの排ガスおよび分離回収された CO2 の 2 種類のガスを焼却主灰に通気した後,その溶出特性 (① 環境庁告示第 13 号試験,② 屋内小型ライシメータ試験) と力学特性を調査した。炭酸化処理後焼却主灰の溶出特性として,Pb 濃度は,試験 ①,② ともに大きく減少したが,Cr(VI) 濃度はともに増加することが確認された。B 濃度は,試験 ① では処理による差はみられなかったが,試験 ② では低く推移することが示唆された。また炭酸化処理による力学特性への影響としては,修正 CBR 値およびコーン指数は低下するが,利用時の必要な強度を満たすことが確認された。ガス種類の違いとしては,炭酸化反応状況や B 濃度挙動に差がみられた。