抄録
ごみ減量を目的に自治体でさまざまな啓発事業が行われているが,減量効果はもとより住民介入の種類について整理した事例はない。本研究は多様な啓発事業を客観的に分類できるか検証するため,生活系ごみの排出原単位が多い 5 市と少ない 5 市を全国の同じ人口規模の中から選定し,一般廃棄物処理計画と公式 Web サイトの掲載内容に対して計量テキスト分析を行なった。公式 Web サイトのほうが抽出語数が多く言語的傾向を分析するのに適すると考えられたため,そこに掲載されている 78 事業を詳細分析した結果,互いに介入方法が異なるものとして解釈可能な主要 14 タイプと少数独自 3 タイプが抽出された。ごみが少ない市では事業数もタイプの種類も多く,反対にごみが多い市では一方向の情報提供型のタイプに事業が偏る傾向がみられた。国内の啓発事業の全タイプを客観的に把握するには,本論の手法を多くの自治体公式 Web サイトに展開させることが効果的と考えられた。