都市ごみ焼却灰の溶出液 (環境庁告示第 13 号試験液) を固相抽出法で前処理し,その溶離液中の Pb を全反射蛍光 X 線分析 (TXRF) で定量する方法を検討した。溶出液をキレート樹脂で固相抽出処理することで,測定試料となる溶液の乾燥痕上への塩の析出を抑えることができた。この乾燥痕を TXRF で分析したところ,K, Ca, Cl および Br 等のマトリックス成分の X 線強度が 1/100 に減少した。Ga 内標準法で Pb を定量したところ,Ga と Pb の強度比の相対標準偏差は,20.7 % から 2.2 % まで減少し,精度が大きく向上した。固相抽出を併用した場合の検出下限は,0.007 mg L
−1 で,用いなかった場合の 0.07 mg L
−1 の約 1/10 となり感度は著しく向上した。固相抽出法と TXRF を組み合わせた分析法は,溶出試験により得られた焼却飛灰溶出試験液中の Pb を迅速かつ簡便に,精度良く定量できることが明らかになった。
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