廃棄物資源循環学会論文誌
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論文
片付けごみを仮置場以外で排出する要因の検討
――平成 30 年 7 月豪雨の倉敷市の事例より――
多島 良 森嶋 順子
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2021 年 32 巻 p. 31-42

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抄録

本研究は,家の中の片付けに伴う災害廃棄物 (以下,片付けごみ) が仮置場以外に排出され,災害廃棄物の処理に支障をきたすことを予防することに向け,仮置場以外に排出する被災者の行動実態とその要因を明らかにすることを目的とした。ごみ出し行動等に関する既往研究と,災害廃棄物処理事例の既報を参考に,距離,広報内容の理解,車両の確保,自宅前の道路幅員,発生量,記述的規範の 6 要因が影響すると想定した。平成 30 年 7 月豪雨で被災した倉敷市民を対象としたアンケート調査,多項ロジスティック回帰分析を含む調査結果の統計解析等の結果,仮置場が自宅から遠くに設置され,片付けごみを運搬するための車両が確保しにくく,広報により排出場所が理解できない場合に,仮置場以外への排出が促進されることなどが明らかとなった。これらの結果をふまえ,被災が想定される地域にまんべんなく仮置場候補地を確保することなどの事前準備について示唆を得た。

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© 2021 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
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