2023 年 34 巻 p. 106-112
CO2 の削減方法の一つとして,産業副産物に CO2 を固定し,最終処分場に埋め立てることで,処分場 CCS の実現可能性が研究されている。しかし,固定化後の挙動は未解明で,外部要因により CO2 が再放出することが懸念される。そこで本研究では,酸性雨によって CO2 を固定化した産業副産物から CO2 が再放出される条件を検証し,処分場 CCS への適用可能性について検討した。
CO2 再放出の評価のため,産業副産物である煤塵に CO2 を十分固定化させ,酸性雨を模擬した溶液と混合させた後,固液分離を行い,固体の炭酸塩含有量を測定することで CO2 の再放出を評価した。その結果,煤塵 1 g に対して,CO2 がすべて再放出されるには 0.820 m3 以上の酸性雨が必要であることが判明した。最終処分場に埋め立てたと仮定した場合,酸性雨による再放出率は,30 年経過したとしても 7.84 × 10−4 % と非常に低いことが示唆された。