廃棄物・資源循環分野でも CCUS に関する取り組みが活発になる中で,焼却灰の炭酸化処理は炭酸塩の形成による CO2 固定と同時に鉛等の溶出抑制も期待できる技術である。ただし,重金属溶出濃度の高い焼却飛灰において確実な不溶化を行うには薬剤処理との併用が望ましい。本研究では産業廃棄物および一般廃棄物の焼却飛灰について炭酸化およびキレート剤添加を組み合わせた場合の鉛溶出抑制効果を検証し,キレート剤使用量の削減可能性について検討した。また,鉛溶出促進が懸念される高塩濃度条件下についても低液固比での溶出試験 (浸漬遠沈試験) により検証を行なった。その結果,炭酸化後にキレート剤添加を行うことで,キレート剤を削減できる可能性が示された。また,低液固比による高塩濃度条件下では,一部の飛灰において炭酸化による鉛溶出促進がみられたが,キレート剤と組み合わせることで同条件下でも溶出抑制が可能であることが示唆された。