プラスチックごみの削減と資源循環が強く求められている中,ポリ塩化ビニル (以下 PVC) 等,ハロゲン系樹脂のケミカルリサイクル方法はまだ確立されていない。本研究では PVC の水熱反応による安全で有効なケミカルリサイクルを目指し,塩基性溶媒の効果や異なる反応場での PVC の反応挙動の違いを明確にすることを目的とした。そのため液相 (攪拌),液相 (静置),蒸気相の 3 パターンを設けて異なる塩基性溶媒や添加剤を用い,脱塩素挙動や表面の形状,生成物の構造について比較した。その結果,PVC のおかれる水熱反応場と塩基の種類により著しく脱塩素化率や生成物の構造が異なること,液相 (攪拌) 条件で尿素やアミン類を添加剤として使うことで著しく反応性が向上し炭化が抑えられることなどがわかった。PVC の水熱反応場の反応条件を詳細に検討することにより PVC の化学構造の制御やケミカルリサイクルの可能性が示唆された。