抄録
日本の市場において,環境配慮の工夫が施された歯ブラシを見かけることは少ない。しかし,欧州においては,さまざまな種類の環境配慮型歯ブラシが店頭で販売されている。そこで,本研究では,日本,ブルガリア,フランスの3国を対象としたアンケート調査により,消費者の環境配慮型歯ブラシの使用実態と,環境配慮意識・行動の差異を明らかにすることを目的とした。その結果,日本においては,環境配慮型歯ブラシの日常的な使用,これまでの使用経験,店頭での接触のいずれもが,ブルガリアとフランスと比べて少ないことがわかった。また,歯ブラシを選ぶときに価格をより重視する傾向にあり,環境配慮性を考慮する人が少ないことが示された。本研究の結果から,日本の消費者の特徴を踏まえた上で環境配慮に向けた取り組みを市場でより強く訴求し,行動変容を促すことが重要であることが示唆された。