廃棄物資源循環学会論文誌
Online ISSN : 1883-5899
Print ISSN : 1883-5856
ISSN-L : 1883-5856
最新号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
論文 若手研究者特集 2023
  • 八景 勇樹, 樋口 良之
    2024 年 35 巻 p. 1-8
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/03/08
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,一般廃棄物焼却施設,とりわけストーカ方式による焼却のごみピットを対象に,中長期にわたるクレーン作業による均質化の効果を検証した。均質化は,ピットでのごみの撹拌,あるいはばら撒きによって行われ,炉内燃焼を安定させる重要な要因である。燃焼の安定は,発電のための主蒸気流量の安定や保守保全コストの抑制等に寄与する。この均質化について,一般廃棄物焼却施設の実機での中長期の検証はさまざまな理由で困難であるため,実機に代えて離散系システムシミュレーションにより検証した。撹拌とばら撒きそれぞれについて 31 日間を再現し観察した。その結果,ばら撒きは,撹拌に比べて,基準発熱量に近い値となるよう均質化したごみを炉へ投入できていることがわかった。一方で,クレーンの作業量を比較すると,ばら撒きは攪拌に比べて均質化や高低差解消の移送それぞれの作業が多く,クレーンの稼働率を高めることが明らかになった。
  • 板橋 千明, 野津 喬
    2024 年 35 巻 p. 9-23
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/27
    ジャーナル オープンアクセス
    海洋プラスチック問題等に端を発し,2010 年代半ばからプラスチックの資源循環は新たな局面を迎え各国・地域で対応が進められている。本稿では同じく非 EU の先進国であるイギリスと日本の対応を EPR (拡大生産者責任) の視点から比較し,差異の実態とその意味を考察した。研究方法としては,両国の新政策による変化を,物理的,金銭的,情報的の 3 つの側面に分類し,さらにそれぞれを収集,循環利用・適正処理,製品設計,制度構築の 4 つのステージごとに分析した。その結果,両者には明瞭な差が認められた。イギリスが物理的,金銭的,情報的各側面での政策手段の組み合わせで生産者責任の強化を図っているのに対し,日本では金銭的な手法は採用されず,自主的取組に重点が置かれており,生産物連鎖中の各主体 (生産,流通・販売,利用,リサイクル) が連携して各々実行すべき役割を果たすことが目指されている。今後,政策効果の実証と両者の差の原因の考察が必要である。
feedback
Top