2022 年 22 巻 2 号 p. 1-8
本研究は看護者が感じる気がかりな妊婦の概念を導出することを目的とする。研究方法は、Walker & Avantの概念導出を用いて、文献検討、親分野の選択、親概念の選択、親概念からの置き換えと再定義を行った。結果、看護者が気がかりな妊婦を見出す認知プロセスは、カテゴリー化のプロセスである【対象のパターン認知】【対象表象の検索】【最も似た知識表象の選択】【対象の持つ性質についての推論】の過程に置き換えることができた。以上より、看護者が感じる気がかりな妊婦とは「看護者が五感を通して妊婦の特徴を認知し、それをもとに過去の学習や臨床経験、他者の情報の検索を通して最も似た妊婦を選択し、妊娠・出産・育児の経過の中で身体・心理・社会的側面のいずれかにおいて危惧する状況になり得る性質を推論するプロセスを経て見出した妊婦」と定義づけた。今後は気がかりな妊婦の概念の活用に向けて属性を明らかにしていく必要がある。