日本スポーツ栄養研究誌
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Print ISSN : 2188-8922
原著
糖質と同時に摂取する牛乳の乳脂肪分の有無が運動後の筋グリコーゲン回復に及ぼす影響
深澤 歩横田 悠天神田 淳木村 典代寺田 新
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2019 年 12 巻 1 号 p. 33-41

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抄録

【目的】

 我々は、牛乳と糖質の混合溶液を運動後のマウスに投与することで、消化管ホルモンGlucose-dependent insulinotropic polypeptide(GIP)、さらにはインスリンの分泌が増加し、筋グリコーゲンの回復が促進されることを報告している。本研究では、糖質と同時に摂取する牛乳の乳脂肪分の有無がGIPおよびインスリン分泌、さらには運動後の筋グリコーゲン回復に及ぼす影響について検討することを目的とした。

【方法】

 実験1では、安静状態のC57BL/6Jマウスに対し、1)グルコース溶液(CHO群)、2)グルコースと無脂肪牛乳の混合溶液(CHO+Non-Fat Milk群)、3)グルコースと有脂肪牛乳の混合溶液(CHO+Fat Milk群)のいずれかを投与し、血漿GIPおよびインスリンの濃度変化を検討した。実験2では、30分間の一過性の運動後に実験1と同様の方法で溶液の投与を行い、筋グリコーゲン回復に及ぼす影響を検討した。

【結果】

 実験1において、CHO+Fat Milk群の血漿GIPおよびインスリン濃度は、他の2群と比較し有意に高い値を示した。さらに実験2では、投与60分後における筋グリコーゲン濃度が、CHO群と比較してCHO+Fat Milk群において有意に高い値を示した一方で、CHO群とCHO+Non-Fat Milk群の間には有意な差は認められなかった。

【結論】

 運動後における糖質と牛乳の同時摂取による筋グリコーゲンの回復促進効果には、乳脂肪分が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。

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© 2019 特定非営利活動法人 日本スポーツ栄養学会
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