【目的】
長期間の持久的トレーニングにより膵臓のアミラーゼ活性が増加し、糖質の消化能力が向上することが報告されている。本研究では、一過性の持久的運動でも、同様に膵臓アミラーゼ活性が増加するのか、さらには糖質の吸収に関わる糖輸送体の発現量にも適応が生じるのか検討することを目的とした。
【方法】
6週齢のSD系雄ラットに対して1時間の水泳運動(Ex-1h群)もしくは6時間の水泳運動(1時間の休憩をはさみ3時間の水泳を2セット)を行わせた。また、運動を行わないコントロール群(Con群)を設けた。水泳運動終了直後もしくは24時間の回復後に、膵臓および小腸(空腸)を摘出し、アミラーゼ活性と糖輸送体(GLUT2およびSGLT1)の発現量を測定した。
【結果】
膵臓全体の総アミラーゼ活性は、運動直後および24時間回復後いずれの時点においても、Con群とEx-1h群の間に有意な差は認められなかったが、Con群に比べてEx-6h群で有意に低い値を示した。また、小腸におけるGLUT2とSGLT1の発現量には、3群間で有意な差は認められなかった。
【結論】
一過性水泳運動は、小腸における糖輸送体の発現量には大きな影響を及ぼさないものの、運動時間がより長時間(6時間)におよんだ場合には、膵臓のアミラーゼ活性が減少し、糖質の消化能力が低下する可能性が示唆された。