2022 年 15 巻 1 号 p. 86-90
【目的】
大学陸上長距離部門に所属する選手を対象に、①安全かつ効率よくトレーニングできるような食生活についての食育活動、栄養学的視点での助言を実施すること、②試合期において選手が自身の最大パフォーマンスを発揮できるように選手の個々の問題点を明らかにし、具体的な改善策を指導することを目的としてサポート活動を実施した。
【活動内容】
身体組成および栄養摂取量を評価し、個人面談を実施する中で、選手1名から心理的な緊張によるエネルギー不足(低血糖)が推測される訴えがあった。この選手に対して、グルコースモニタリングシステムを用いてセンサーグルコース値(SG値)の測定を実施した。
【成果】
練習時に70 mg/dLを下回るSG値が確認されたことから、練習/試合開始時のSG値を100 mg/dL程度に維持して、練習/試合に臨むように提案した。記録会当日は、スタート時間の6時間前に昼食を摂取し、試合1時間前に補食を摂取させたところ、SG値は100 mg/dL以上に保たれていた。記録会では10,000 mの自己記録を約1年ぶりに更新した(29分13秒51→29分7秒48)。
【今後の課題】
センサーを装着するだけで手軽に測定できる機器を用いて、運動実施中の血糖動態を考慮し、個々人の特徴に合わせたパーソナルな栄養戦略の有用性を示していきたい。