2022 年 15 巻 1 号 p. 91-98
【目的】
トップレベルの競泳選手は日常的に長時間及び高強度のトレーニングを行うため、コンディショニングにおいて食事摂取が重要である。しかし、大学生アスリートは欠食が多く、授業及びトレーニングにより限られた生活時間の中で、適切な食事を準備し摂取することが難しいと考えられる。そこで、トップレベルの大学女子競泳選手を対象に良好なコンディションを維持させることを目的としてトレーニング日の朝食及び夕食の提供を試みた。
【活動内容】
約7か月間、トレーニング日の朝食及び夕食を提供した。提供した食事の喫食状況、体重及び主観的コンディションを把握し、選手のコンディションに応じて献立の調整を行った。
【成果】
提供した朝食及び夕食の喫食率は高く、トレーニング日の体重及び主観的コンディションは概ね良好に維持された。一方、食事提供を行っていない大会及び遠征後に体重減少や体調不良が発生する傾向がみられた。
【今後の課題】
朝食及び夕食の提供により高強度トレーニング中の選手のコンディションを良好に維持させることができたが、選手の食意識や自己管理能力は十分ではないことが示唆された。栄養サポートは食環境整備と栄養教育の両方を行うことが重要であり、食事提供を活かした栄養教育を強化して選手の自己管理能力を高めることが今後の課題である。