日本看護研究学会雑誌
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人工股関節置換患者の回復過程および生活の満足度に関する研究
泉 キヨ子平松 知子土屋 尚義金井 和子金川 克子
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1994 年 17 巻 2 号 p. 2_9-2_19

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抄録
  人工股関節全置換術を受けた患者81名の日常生活の回復過程と生活の満足度について検討した。方法は日常生活関連動作11項目の回復過程を中心に,大学病院退院時,術後3,6,12ヵ月後に調査した。生活の満足度はModified Arthritis Impact Measurement Scaleを用いた。
(1) 股関節に関連した日常生活関連動作11項目は,術後1年間には,ほぼ自立できるものが多かったが,バス乗降,しゃがみこみ,座っておじぎ,足指爪切りの自立得点が低かった。
(2) 日常生活関連動作11項目の1年間にわたる回復過程は4グループに大別され,さらに術後3ヵ月までの回復状況が,その後の経過に特徴ある差を生じることが認められた。
(3) 日常生活関連動作の回復過程は疾患別にも特徴的な差を示した。とくに変形性股関節症と慢性関節リウマチの差が大きかった。
(4) 生活の満足度では,手術後は手術前に比し,痛み,ADL,身体活動,可動性などの改善のみならず,社会的役割や社会活動,不安,抑うつなどでも良好な反応がみられた。またこれらのすべての変数間に正の相関が示された。
(5) 生活の満足度を高める要因として,1年後の日常生活関連動作総得点の高い者,年齢の若い者があげられた。一方,慢性関節リウマチ患者も示唆された。
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© 1994 一般社団法人 日本看護研究学会
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