抄録
本研究の目的は,精神疾患および精神科看護に対する看護学生の意識構造が,1年次から3年次までの看護教育によってどのように変化するかを明らかにすることである。3年間の継続的研究を行い,意識構造の変化を検討した。
対象は,1991年度山口大学医療技術短期大学部看護学科入学生80名である。1年次から3年次にかけて4回の質問紙調査を行い,4回の調査に解答した看護学生70名の結果を使用した。回答を数量化し,因子分析により4因子を抽出した。1年次・2年次,3年次精神科実習前,3年次精神科実習後の4群に分類し,項目別特典平均値および因子得点平均値を比較した。また各群で因子分析を行い,意識構造を比較した。以下の結論を得た。
1. 看護学生の精神疾患および精神疾患患者に対する意識構造は,「恐怖・嫌悪因子」「理解的因子」「社会的疎外因子」「否定的因子」の4因子で構成されていた。
2. 看護学生の精神病に対する意識構造は,1年次と2年次とでは「社会的疎外因子」が変化し,2年次と3年次精神科実習前,3年次精神科実習前後では「恐怖・嫌悪因子」が変化していた。
3. 3年間の看護教育により,看護学生の精神病に対する意識構造は変化する。特に,実習という看護体験が疾病観,患者観の形成に大きく影響する。