日本看護研究学会雑誌
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保育行動としての刺激と児の反応との関係
-抱いて揺する刺激についての分析-
江守 陽子青木 和夫
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1998 年 21 巻 2 号 p. 2_19-2_27

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抄録
  本研究の目的は,保育行動としての保育者による抱いて揺する刺激と,児の反応との関係を検討することにあった。
  啼泣中の8人の成熟正常新生児に対し,保育者が抱いて揺する刺激(以下,刺激Ⅰと呼ぶこととする)と,同様の新生児16人に対し,ゆりかごを用いた機械的振動刺激(以下,刺激Ⅱと呼ぶこととする)を与えた。
  その結果を要約すると次のとおりである。
1.刺激Iは,児の啼泣を刺激開始から19.0秒で,刺激Ⅱは,同様に24.6秒で停止させた。これは,どちらの刺激も児の啼泣を速やかに停止させることを意味していた。
2.刺激Iは,啼泣中の児の興奮状態を落ち着かせ,反応を減少させる効果があることを示していた。
  一方,刺激ⅠとⅡでは大きな違いは認められなかったが,刺激後に,前者は後者よりも児に与える鎮静効果がより持続した。
3.刺激Ⅰにおいて,児の心拍数は刺激中に減少し,呼吸数は刺激後に減少した。
  また,刺激Ⅰは,刺激Ⅱよりも有意に児の心拍数を減少させることを示していた。
   本研究からは,刺激Ⅰと刺激Ⅱは,啼泣中の児の反応を減少させるために,外から与えられた刺激として,ともに十分効果的な刺激であることを示していた。
   また,前者は後者よりも児を鎮める効果がやや優れているように思われた。
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© 1998 一般社団法人 日本看護研究学会
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