日本看護研究学会雑誌
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抗HIV薬の服薬アドヒアランスに関する研究
野々山 未希子
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2000 年 23 巻 5 号 p. 5_69-5_80

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抄録

 HIV感染症は,新規抗HIV薬の開発と多剤併用療法の発展,血中ウイルス量測定や抗HIV薬耐性検査の開発により予後が改善され,慢性疾患と定義されるようになった。しかし現状では,HIV感染症を完治することはできず,患者の服薬状況により予後が左右される。当センター受診患者の服薬状況を調査したところ,初診時にアドヒアランス良好であった割合は全体の61%であったが,再診時では81%と上昇した。また初診時・再診時ともに,内服薬剤数の多い患者の方が,内服薬剤数の少ない患者よりもアドヒアランスが高かった。長期的な服薬には,くり返して指導・教育を行うことと,患者本人の治療意欲が強く影響していた。さらに,アドヒアランスを低下させた要因について調査したところ,「薬剤の形態・特質」「副作用」「拒薬」「生活状況と服薬時間の不一致」「自己管理意識の不足」「教育・理解不足」「プライバシー保持」の7項目に分類された。

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© 2000 一般社団法人 日本看護研究学会
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