2000 年 23 巻 5 号 p. 5_81-5_90
本研究は,大震災後母親の認知した子どもの心身状態とその際の子どもへのケア,母親の心理的状態を通して,災害時に必要な子どものケアに対する看護職者へのケアニーズと役割を明らかにすることを目的として取り組んだ。研究対象者は神戸市内で被災にあった幼稚園及び保育所に通っている子どもを持つ母親515名である。研究方法は自己記入式質問紙調査で,項目は被災の状況,避難状況,子どもの心身の状態,母親のPTSD,生活の困難度とである。分析はHALBOW4にて統計的検討を行った。研究結果は回収率72%であった。結論は以下の通りであった。
1.母親の認知した災害後の子どもの心身の状態が明らかになり,被災直後からの心のケアの必要性をあげていた。
2.母親のPTSDと子どもの心身の状態との関連が明らかになった。
3.母親が看護職者に望んでいることは,心のケア,災害直後からの看護,環境への対処法,病気の手当のアドバイス,適切な医療などの情報であった。