日本看護研究学会雑誌
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看護婦の職務における自律性と研究活動に対する意識および倫理的問題に対する悩みとの関連
菊池 昭江岡本 恵里
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2002 年 25 巻 2 号 p. 2_101-2_109

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抄録

  本研究の目的は,職務における自律性 (看護活動における状況認知,判断,実践に関する力量) と研究活動に対する看護婦の意識や経験,倫理的問題 (看護婦の責任である健康の増進,疾病の予防,健康の回復,苦痛の緩和を遂行できていないと感じる業務上でぶつかる事例) に対する悩みとの関連性を検討することである。 総合病院看護婦381名を対象に質問紙調査を行った結果,以下のことが明らかになった。
1. 看護婦の職務における自律性は,具体的判断・実践能力,認知能力,緊急時対応能力,抽象的判断能力,自立的判断能力の5因子,研究活動に対する意識はキャリア形成への期待感,研究意欲,研究サポートへの満足感の3因子,倫理的問題への悩みの程度は1因子構造を示した。
2. 職務経験10年以上の看護婦は,10年未満の者よりもキャリア形成への期待感や研究意欲,倫理的問題に対する悩みの程度が高く,さらに主任や婦長はスタッフよりも研究活動に対する意識や倫理的問題に対する悩みの程度が高かった(p<.05)。
3. 職務経験10年以上の看護婦は,倫理的問題に対する悩みとキャリア形成への期待感及び研究意欲との間で,役職者では倫理的問題に対する悩みと研究意欲との間で有意な正の相関を示した(p<.05)。
4. 職務経験10年以上の看護婦では,職務上の自律性が高い者ほど研究活動に対する意識が高く研究活動を肯定的に受け止めていた。 また,職務上の自律性が高い者ほど倫理的問題に対する悩みを強く感じていた。

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© 2002 一般社団法人 日本看護研究学会
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