2003 年 26 巻 2 号 p. 2_35-2_49
病院に勤務する看護師を対象に,頭髪に付着する細菌の実態をスタンプ法を用いて調査した。 その結果,就業前・後ともに最も多く分離された菌種はグラム陽性桿菌で,次いで多かったのがグラム陽性球菌であった。 日和見感染の原因菌 (S.aureus, MRSA, グラム陰性桿菌, Candida spp.) は,総コロニー数の8~18%を占めていた。 また,整髪料を使用している場合は,『就業後』 の頭髪の細菌汚染度が,『就業前』 のそれよりも有意に高く,頭髪に付着した細菌が頭髪の表面に保持されるだけでなく,新たに細菌が付着する可能性が示唆された。 さらに,シーツ交換作業によって頭髪の細菌汚染度が高められることが明らかになった。 一方,整髪料を使用していない場合は,『就業後』 の頭髪の細菌汚染度が,『就業前』 のそれよりも有意に低く,頭髪に付着した細菌が振り落とされる可能性が示唆された。