日本看護研究学会雑誌
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看護師の観察における目測の妥当性に関する研究
降矢 直美西垣 克
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キーワード: 看護師, 目測, 観察, 妥当性
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2003 年 26 巻 5 号 p. 5_87-5_100

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抄録

 看護師の目測による観察の妥当性を検討することを目的に,都立病院に勤務する看護師5名に研究者が作成した吐物を用いて実験を行った。 作成した吐物15個をランダムに150回呈示し,縦横の長さと量の目測を行い呈示した吐物と目測の誤差量とカルテへの記載表現を調べた。 その結果,目測は曖昧な観察であること被験者個々の目測傾向には個人差があることが分かった。 被験者の目測傾向は 「少なく目測する」 「多く目測する」 「少ない,多いが混在する」 3タイプに分類でき,個人差は吐物の面積,量との統合の相違によるものであった。 吐物別の目測誤差では,吐物面積が大きいものより小さい物の方がまた,形が不定形でない物の方が目測の妥当性が高くなる特性がある。 カルテへの記載表現では,被験者3名が 「多量」 「中量」 「少量」 と表現したが量の捉え方は個々によって異なり,情報としての信頼度が低いことが明確になった。

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© 2003 一般社団法人 日本看護研究学会
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