本研究の目的は,同一体位の長時間保持を課された場合の生体反応と,身体および心理的苦痛,およびこれらの相互関連性について明らかにすることであった。 13名の健康な女性を被験者として,120分間の仰臥位保持下での被験者の生理反応と苦痛の経時的変化を同時に測定し,さらにこれら結果と被験者の身体状況,気分状況 (POMS) の変化,および性格傾向 (MPI) との相互関連性について検討した。 その結果,生理反応のうち変化がみられたのは,背部皮膚温と皮膚血流量,および交感神経の緊張状況であった。 また,大半の被験者は,120分以内で強い苦痛を感じ,気分状況の悪化をみた。 さらに,外向性の高い人ほど緊張および不安感,疲労感が増強し,活気が喪失する傾向を認めた。 しかし,自律神経の緊張状況と苦痛の増強の変化パターンは相関しなかった。