日本看護研究学会雑誌
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低温熱傷発症条件に関する実験的検討
飯田 智恵山本 昇
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2004 年 27 巻 1 号 p. 1_43-1_50

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抄録

  安全な温罨法の表面温度と継続時間を検討することを目的に,熱による皮膚組織の変化を検討した。一定温度に保った銅管に,ウレタン麻酔下でマウス大腿部を接触させ,様々な温度と時間で加温後,7日後までの皮膚の変化を光学顕微鏡で観察した。42℃5時間または43℃以上の加温で表皮細胞核濃縮や表皮下水疱,肥満細胞脱顆粒,コラーゲン線維配列変化,白血球浸潤が観察され,7日後までに真皮深部まで壊死に陥った。42℃2時間加温では変性像が軽度見られただけであった。また異なる材質(アルミニウム管,ネル布,ポリエステル布)を接触させた場合,43℃2時間加温でも傷害の程度は銅管に接触させた場合より弱く,皮膚組織の壊死は観察されなかった。以上のことから43℃以上や42℃5時間の加温で低温熱傷発症の可能性が高いことが示唆された。従って,低温熱傷を予防するために温罨法の表面温度への配慮と適切なカバーの材質の選択が必要である。

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© 2004 一般社団法人 日本看護研究学会
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