2004 年 27 巻 1 号 p. 1_107-1_113
HPN患者のQOLの満足感に焦点を当て,それには身体,心理,社会的要因と支援ネットワークが影響するという因果モデルを想定した。本研究の目的は,このモデルをデータに基づいて検証することで,QOLの向上を目指した効果的な看護介入について検討することにある。そのため良性疾患を有するHPN患者31名を対象とした質問紙調査を行い,27名から回答が得られた。
結果,自覚症状が多くなると不安感が増強し,それが満足感を低下させる方向に影響していた。また,活動レベルが良好なことは,自尊心を高め,高い自尊心は仕事への復帰を促し,それが満足感を高める方向に影響していた。しかし,支援ネットワークは満足感に影響していなかった。
HPN患者への看護介入では,まず身体的苦痛を除くことに重点を置き,次に不安感を和らげ,自尊心を高める援助を行い,最終的に職業的機能の回復を促すことがQOLの向上に繋がるのではないかと考えられる。