抄録
本研究の目的は,病気関連不安認知尺度の交差妥当性を確認し,入院患者の病気や生活に関する不安認知の精神的健康に及ぼす影響を明らかにするとともに,精神的健康に不安認知のどの因子が最も影響を与えるのかを明らかにすることであった。対象は総合病院に入院している317名の患者で,精神的健康の測定にはGHQ-12を用いた。因果モデルを用いて分析した結果,不安認知と精神的健康の標準化係数は0.487(p<0.01)で,中程度の関連性を認め,不安認知が高いほど精神的な健康度が低下していることが示された。病気関連不安認知の中では目的・価値喪失の因子が精神的健康への影響が強く,目的・価値の喪失に対する不安認知への介入が課題と考えられた。入院生活を送っている患者の精神的な健康維持に対する介入として病気や生活に関する不安認知をアセスメントし,個々の患者が抱える不安認知に介入していくことが必要であることが示唆された。