2007 年 30 巻 4 号 p. 4_75-4_83
背部温罨法の温度の相違による効果を,皮膚表面温及び循環器に与える影響から検討することが目的である。対象は研究参加に同意が得られた健康な女性20名で,実験条件は,55℃の熱布を貼用する55℃法,40℃に75℃の熱布を重ねて貼用する40℃+75℃法,40℃に65℃の熱布を重ねて貼用する40℃+65℃法とし,10分間左側臥位で背部温罨法を実施した。
熱布の温度の持続性は,40℃+75℃法,40℃+65℃法,55℃法の順であった。全方法で,皮膚表面温は,安静時と比べて肩甲骨下では貼用中から除去15分後まで,右足背では除去16~30分間に有意に上昇した。収縮期血圧は,55℃法では3名が安静時より20㎜Hg以上低下した。拡張期血圧は,全方法で貼用中から除去30分後まで有意に低下した。
40℃+65℃法は,40℃+75℃法と比較して保温効果はかわらず,循環器系への影響が少なく臨床での利用が推奨された。