日本看護研究学会雑誌
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統合失調症患者の表情認知における視線運動の特徴
則包 和也白石 裕子
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2008 年 31 巻 1 号 p. 1_75-1_82

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抄録
  本研究の目的は,統合失調症患者と健常者の表情認知における視線運動の違いを明らかにすることである。統合失調症患者4名と健常者6名を対象として,提示した表情写真が表す感情を読み取る際の視線の動きを,視線運動解析装置で記録した。その結果,統合失調症患者は健常者と比較して,視線の平均停留時間が有意に短く,平均移動速度が有意に速いことが明らかになった。また,統合失調症患者は,注視点の数が有意に少ないことが明らかになった。これらの結果から,統合失調症患者は対人関係において,相手の顔に視線を向けないことから,表情をよく見ていないことが考えられた。また,統合失調症患者は顔の一部分だけを見る傾向が強く,表情を漠然とみており,視覚情報の不足が推測されること,および顔のパーツを選択的に捉える能動的な視線の動きが少ないことが明らかになり,表情認知機能の障害との関連が示唆された。
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© 2008 一般社団法人 日本看護研究学会
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