日本看護研究学会雑誌
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重症心身障害児施設に勤務する看護師の重症心身障害児・者の反応を理解し意思疎通が可能となるプロセス
市江 和子
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2008 年 31 巻 1 号 p. 1_83-1_90

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抄録
  本研究の目的は,修正版グランデッド・セオリー・アプローチによる質的帰納的分析により,重症心身障害児施設に勤務する看護師が重症心身障害児・者の反応を理解し,意思疎通が可能となるプロセスを明らかにすることである。対象者は,同意を得た看護師15名で,半構成的面接法により調査した。分析の結果,5つのカテゴリーとそれに含まれない3つの概念に分けられた。看護師は,<衝撃的体験>をしながら,<対象接近方略>,<看護実践の多角化>をはかり,<対象者把握法の確立>をしていた。重症心身障害児・者に“一人の人間としてかかわる”ことを基盤とし,対象との<相乗効果>をもっていた。関わりには,“確証がもてない思い”を抱きつつ,相手を中心にした看護を考え,お互いの緊張感がとけることで,意思の疎通が可能になっていくというプロセスになると考える。
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© 2008 一般社団法人 日本看護研究学会
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