抄録
本研究は,デイケアに通所し地域で生活する統合失調症患者83名を対象に,居場所感とQOLの2変数の関連を明らかにすることを目的とした横断研究である。調査項目は,日本語版WHOQOL-26,精神障害者の居場所感尺度(3下位尺度からなる2次因子モデル),個人特性で構成した。想定した居場所感とQOLの因果関係モデルを共分散構造分析を用いて検討した結果,適合度指標は統計学的な許容水準を満たし,モデルはデータに適合した。居場所感が大きいことは,より良いQOLであることが明らかになり,その寄与率は44%であった。このことから,在宅生活をする統合失調症患者がより良いQOLを獲得するためには,彼らの居場所感を高める支援が有効であることが示唆された。