抄録
〔目的〕
侵襲の大きい手術を受けた患者を対象に低照度補光を実施し,術後のサーカディアンリズムの調整効果を検証することである。
〔対象及び方法〕
心臓血管系の手術患者を対象とした準実験研究である.患者の負担を減らすため,波長成分を考慮したLED光源の光照射装置を低照度条件で用いた.補光は,術後1日目より,昼間4時間,計12時間にわたって実施した。補光と術後サーカディアンリズムの関連性については,深部体温とメラトニン血中濃度で評価した。
〔結果〕
患者の深部体温は,補光開始1日目よりも2日目でより24時間周期に近づき,あてはめ度もよくなる傾向が示された。また,Friedman法を用いて,時間経過に伴うメラトニン分泌量を比較したところ,P<0.0001にて有意差がみとめられた。
〔まとめ〕
低照度補光は,侵襲の大きい手術を受けた患者のサーカディアンリズムを調整できる可能性が示唆された。