2010 年 33 巻 2 号 p. 2_77-2_83
本研究は,看護師のキャリア・アンカー形成の傾向を,職業キャリアとライフステージの両局面から明らかにすることを目的とした。一大学病院に勤務する看護経験年数5年以上の看護師183名を対象に,キャリア・アンカーについて質問紙調査を実施し,有効回答の得られた117名を分析の対象とした。
全体的な傾向としては,「生活様式」,「保障・安定」への志向が強かった。キャリア・アンカーの平均値による降順は,看護経験年数,メンターの有無,配偶関係,子供の有無を問わずほぼ一定であり,個人が獲得したキャリア・アンカーに普遍性があることが示唆された。
これらのことから,職業キャリア,ライフステージにとらわれず,一個人の生活を前提としてキャリア発達への支援を考えていくことが重要である。