抄録
術後患者を対象にIncentive Spirometryを用いた呼吸訓練を行い,換気機能回復への影響を検討した。実験群が行う訓練は1日に4セット,1セットの回数を10回とした。実験期間は手術前日から術後10日目までとし,電子スパイロメータで術前,術後1日目,術後5日目,術後10日目に換気機能を測定した。対照群はIncentive Spirometryを用いた呼吸訓練を行わず,実験群と同様に換気機能を測定した。その結果,対照群の術後1日目の肺活量と%肺活量は,術後5日と術後10日目より有意に低下していた。また,術後1日目の肺活量と%肺活量は実験群より対照群の方が有意に低値であった。以上から,Incentive Spirometryを術後に使用することにより,換気機能の回復が期待できることと,最大吸気が充分に維持される呼吸訓練であれば「1セット10回を1日に4回」で効果が期待できることが示唆された。