日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
在宅女性高齢者に対する「転倒予防ケア」としての足浴の有効性の検討
本多 容子阿曽 洋子伊部 亜希田丸 朋子木村 静徳重 あつ子鈴木 みゆき細見 明代
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 33 巻 5 号 p. 5_55-5_63

詳細
抄録

  幅広い高齢者が対象となる転倒予防策として,足へのケアが有効であると考え足浴に着目した。被験者は女性高齢者20名で,1人の被験者に対し,座位にて足浴を行う足浴実験と行わない対照実験の2種類を実施した。実験の前後で足関節背屈角度と足底荷重最大値の測定を行い,測定値の前後差と転倒経験との関連を検討した。その結果足浴後,背屈角度及び足指部の荷重最大値が有意に増加していた。また実験前の背屈角度は転倒経験のある群の方がない群より有意に小さかったが,足浴後は差はなくなった。さらに足浴後増加した背屈角度及び足指部の荷重最大値と,転倒経験には相関が認められた。結果より足浴の温熱効果で背屈角度が増加し,重心が前方に移動しやすくなったため足指部の荷重最大値が増加したと考えられる。この事から前進力が向上し,歩行状態が改善されたと推測される。ここから足浴は女性高齢者の「転倒予防ケア」として有効であることが示唆された。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本看護研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top