幅広い高齢者が対象となる転倒予防策として,足へのケアが有効であると考え足浴に着目した。被験者は女性高齢者20名で,1人の被験者に対し,座位にて足浴を行う足浴実験と行わない対照実験の2種類を実施した。実験の前後で足関節背屈角度と足底荷重最大値の測定を行い,測定値の前後差と転倒経験との関連を検討した。その結果足浴後,背屈角度及び足指部の荷重最大値が有意に増加していた。また実験前の背屈角度は転倒経験のある群の方がない群より有意に小さかったが,足浴後は差はなくなった。さらに足浴後増加した背屈角度及び足指部の荷重最大値と,転倒経験には相関が認められた。結果より足浴の温熱効果で背屈角度が増加し,重心が前方に移動しやすくなったため足指部の荷重最大値が増加したと考えられる。この事から前進力が向上し,歩行状態が改善されたと推測される。ここから足浴は女性高齢者の「転倒予防ケア」として有効であることが示唆された。