児童養護施設職員が被虐待児とのかかわりを進展させるプロセスを明らかにする目的で,施設職員11名を対象に半構成的面接を実施し,『修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ』で分析した。その結果,《かかわりを進展させる原動力》カテゴリーには〈子どもの行動の解釈〉,〈職員の職業観〉,そして〈他の職員の影響〉のサブカテゴリーが含まれ,《かかわり進展》カテゴリーの〈子どもとの困難なかかわり〉から〈子どもを個別に理解する〉,そして〈方針をもった子どもへのかかわり〉への推移に影響していた。また,〈子どもを個別に理解する〉や〈方針をもった子どもへのかかわり〉が《かかわりへの自信》カテゴリーの〈かかわりへのとまどい〉から〈子どもが応えてくれる確信〉への推移に影響していた。以上の結果より,職員が子どもへのかかわりにとまどいのある場合には《かかわりを進展させる原動力》への働きかけが必要であることが示唆された。