抄録
本研究の目的は,がん患者遺族のPTGの特徴とストレスコーピング・ソーシャルサポートとの関連を明らかにすることである。死別後6か月から6年の遺族550名に,個人要因,PTG,ストレスコーピング,ソーシャルサポートの自己記入式質問紙を郵送し,218名から回答を得た。PTGは中程度で自動車事故生存者や東日本大震災被災者より高値であった。がんによる死別で死が予測可能であり,緩和ケア病棟で充実した家族ケアが受けられたためと考える。重回帰分析の結果,情動焦点型・問題焦点型コーピング,情緒的サポートが影響要因で,分散の48.6%が説明された。遺族が感情を表出し自己開示できる情緒的サポート,情動焦点型や問題焦点型コーピングをとり,死別後の生活再構築ができるサポートが必要である。