2017 年 40 巻 1 号 p. 1_15-1_23
【目的】地域在住高齢者を対象に懐メロを用いた回想法を行い,心理的効果を検討した。
【方法】対象者は閉じこもり傾向にある高齢者18名とした。懐メロを用いた回想法の介入前後をHDS-R,MMSE,PGC,主観的健康感尺度,GDS-15,基本チェックリストを用い,Wilcoxon符号付順位和検定で分析を行った。
【結果】HDS-Rや基本チェックリストの「閉じこもり」,PGC,PGCの第2因子「老いに対する態度」,主観的健康感尺度の下位項目「気分」・「経済状態」において,介入後に有意な改善が認められた。
【結論】閉じこもり傾向にある高齢者に懐メロを用いた回想法を行うことで,認知機能や閉じこもり,幸福感,健康感の気分・経済状態に効果が認められた。回想法は週に1回間隔で実施・検証されている研究が多いが,月1回間隔で行うことでも,心理的効果が得られることが明らかになった。