【目的】1980年代から現在までの患者教育に注目し,患者主体の患者教育がどのように生み出されてきたのかを歴史学的な視点から明らかにした。
【方法】Rankeの歴史学研究の手法を踏襲した文献研究である。資料を一次資料と二次資料に分類し,①患者の意思決定の尊重,②学習援助型の患者教育という2つの視点から分析した。
【結果】1980年代から人権意識の高まりに伴い,患者の意思決定の尊重が問われ看護職者による「伝える」や「教える」ことが行われた。また,セルフケアの影響によって「援助」の視点が重視され,学習援助型の患者教育に関心がむけられた。1990~2000年代は,方法論の理論的支柱としてエンパワメントや自己効力感が注目され,患者-看護職者のかかわり方が重視された。
【結論】1980年代からの看護における患者教育の変遷を概観することで,患者教育は,専門性を高めてきたことが明らかなった。
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