2018 年 41 巻 5 号 p. 5_911-5_921
目的:悪性神経膠腫を有する患者の発症から開頭術,放射線化学療法,退院後の化学療法へと続く治療過程での病気体験のプロセスを明らかにする。
方法:開頭術後に放射線化学療法を受けた悪性神経膠腫を有する患者10名を対象として,半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した。
結果:コアカテゴリー『頭の中に居座り続ける腫瘍消滅への一縷の望み』と,9個のカテゴリーが抽出された。他には選択肢のないなかで治療の意思決定を行い,放射線治療による照射部位だけの脱毛や後遺症のために以前の自分には戻れない現実など脳腫瘍特有の体験をしながら,周囲の人との関係性のなかで,取りきれない腫瘍を何としてでも取りたいとわずかでも望みを持ち続けているプロセスが明らかとなった。
考察:看護実践への示唆として,患者の意思決定支援,教育支援,入院前から退院後まで継続した支援を行うためのシステム整備の必要性が得られた。