日本看護研究学会雑誌
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41 巻, 5 号
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  • 伊山 聡子, 前田 ひとみ
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_833-5_840
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/08/17
    ジャーナル フリー
     本研究は看護大学生の臨地実習における自己調整学習と自己効力感との関係および自己調整学習の学年による変化を明らかにすることを目的とした。看護大学生776名を対象に臨地実習における自己調整学習尺度(Self-Regulated Learning in Clinical Nursing Practice: SRLS-CNP)とGeneralized Self-Efficacy尺度による調査を実施した。376名の解析結果から,SRLS-CNPを構成する学習方略の第一因子である「知識と看護技術の統合」は,自己効力感や可視化のむずかしい動機づけを高める項目を含んだ重要な因子であることが示された。また2・3年生に比べ4年生の SRLS-CNP総得点は有意に高かった(p<.001)ことから,臨地実習の経験によって臨地実習における自己調整学習が獲得されることが示唆された。
  • 山田 恵子, 小林 紀明
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_841-5_851
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/07/19
    ジャーナル フリー
     領域別実習を実施している首都圏看護系大学4年次の学生10名を対象に,半構成面接を実施した。M-GTAを用いて,分析テーマ「『個人の特性』を形成するプロセス」に沿って分析を行った結果,27概念と8カテゴリーを抽出した。それは,〈慌てていた自分〉は,〈同じく学生〉〈支援者の支え〉の関係のなかで落ち着きを取り戻し,〈患者と同じ目標に向かう〉ことと〈バランスをとる〉〈患者が求めている看護を知る〉との相互作用により看護への問いを深め,〈それは本当か考える〉ことで,看護師となる学生として看護の意味を問い直し,〈改めて看護師になる〉ことが自覚されていくプロセスであった。個人の特性は,「正確な自己評価」「感情の自己認識」によって動機づけられ,「信念の維持」「セルフ・コントロール」の能力を形成する。最も外側にある知識・スキルの獲得には,「内省力」の高まりを受け,「自己研鑽・学習力」へと進んでいた。
  • 中井 あい, 山田 和子, 森岡 郁晴
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_853-5_862
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー
     本研究は,フィリピンに長期在住の日本人が医療機関を受診した際の経験を明らかにすることを目的とした。セブ州に住み,医療機関の利用経験がある日本人 20名に,半構造化面接法を行った。内容分析法を用いて分析した。対象者の平均年齢は 65.7歳で, 12人は日常生活に不便がない程度の英語能力であった。 404の記述内容から【現地医療施設の受診を少なくするための健康意識とその行動】【医療スタッフの質に左右される多様な受診経験】【求めるサービスの得られにくさ】【意思疎通の困難さ】【新しい患者・医師関係を形成する必要性の自覚】【現状をふまえた適切な医療への要望】の6カテゴリーが抽出された。看護師は,現地に住む日本人に求めるサービスを得ることがむずかしいことを伝え,望ましい患者 -医師関係の形成を支援するとともに健康増進のための自己管理を支援する必要性が示唆された。
  • 療育教室に参加する母親と看護者との対話を通した協働的な学び
    山本 真実, 浅野 みどり
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_863-5_874
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー
     本稿では,療育教室に参加する母親が身につける子どもを理解するための考え方を,コミュニケーションという視座から提示するとともに,子どもを理解していく対話における看護者の役割を提案する。参与観察,第一著者と母親の継続的な対話によるフィールドワークを行い,子どもを理解するための考え方とその変化を記述した。母親は,子どもを理解するための相反する見方の狭間で葛藤しながら,親子としての考え方を見つけることで,子どもの見方を変えていくしなやかさを身につけていった。親子としての考え方とは,子どもと親,周囲の人々とのかかわりあいとして,素直な要求による素のままの私たちとして,子どもの見方を変え続ける過程として,子どもを理解することであった。対話では看護者自身も変化の主体であり,看護者の役割は,対話において,子どもを理解する看護者自身の考え方を問い直しながら,母親とともに子どもを理解するプロセスを歩むことである。
  • ─ 質的研究のメタ・サマリー ─
    濱田 真由美, 佐々木 美喜, 住谷 ゆかり, 鈴木 健太, 仁昌寺 貴子
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_875-5_889
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/19
    ジャーナル フリー
    目的:授乳を行う母親の体験に関する質的研究結果を統合する。
    方法:質的研究40件を抽出し,メタ・サマリーを行った。
    結果:授乳に必要とされる自律性を発揮する体験,意思をもって授乳方法を選択する体験,母乳を与えようと努力する体験,母乳に母子関係を投影する体験,母乳に「母親」を投影する体験,断乳・卒乳・離乳と折り合いをつける体験,授乳に対する否定的体験,支援に満足した体験,支援に不満を抱いた体験の9トピックと30の結果に統合された。出現頻度が高かった結果(effect sizes 20~38%)は,母乳育児や搾乳に伴う身体的・精神的苦痛,「母親」としての自己価値が揺るがされる体験,母親の自律性や意思を示す体験であった。
    結論:母乳を与えることに伴う母親の身体的・精神的苦痛や自己価値が揺るがされる問題状況に取組み,母親の自律性や意思を尊重した支援創出に向けた研究が必要である。
  • 中村 真弓, 玉田 章
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_891-5_898
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー
     健康成人女子に器具を用いた呼気筋訓練を行い,呼吸筋力と換気機能から術後無気肺予防としての有効性を検討した。訓練は吸気と呼気で1回,10回を1セットで1日に4セットを14日間継続した。FEV1(forced expiratory volume in one second),FEV1%(forced expiratory volume in one second percent),PEF(peak expiratory flow),MEP(maximum expiratory pressure),MIP(maximum inspiratory pressure)を実験前,7日目,14日目に測定し,実験群のPEFとMEPが経日的に有意に増加した。筋肥大に必要な期間より短期間で変化したため,普段は使用しない呼気筋々線維の動員と推察された。以上から呼気筋訓練の術後無気肺予防への有効性が示唆された。
  • 富塚 美和, 門間 晶子, 尾﨑 伊都子
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_899-5_910
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は中高年期にある人々の認知症への態度と知識および予防行動の実態を明らかにするとともに認知症予防行動の関連要因を検討することである。40~64歳971名を対象に自記式質問紙調査を実施し有効回答の得られた299名を分析対象とした。結果,約7割が認知症予防行動に関心をもつ一方で実行している者は2割であった。認知症に関する知識の関連要因を検討した結果,知識が高いほど関心や罹患性の認識が高く,認知症の人への態度が肯定的であった。多変量解析の結果,年齢が50歳代であること,Breslowの健康習慣得点が高いこと,認知症予防行動への関心および知識があること,認知症の人への態度が肯定的であることが認知症予防行動実行に有意な関連を示した。そこで,中高年期でもとくに40歳代を中心とした世代に対する支援の必要性と,知識の普及により認知症への態度を肯定的にすることで予防行動につながる可能性が示唆された。
  • 森 光代, 當目 雅代
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_911-5_921
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/06/25
    ジャーナル フリー
    目的:悪性神経膠腫を有する患者の発症から開頭術,放射線化学療法,退院後の化学療法へと続く治療過程での病気体験のプロセスを明らかにする。
    方法:開頭術後に放射線化学療法を受けた悪性神経膠腫を有する患者10名を対象として,半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリー・アプローチで分析した。
    結果:コアカテゴリー『頭の中に居座り続ける腫瘍消滅への一縷の望み』と,9個のカテゴリーが抽出された。他には選択肢のないなかで治療の意思決定を行い,放射線治療による照射部位だけの脱毛や後遺症のために以前の自分には戻れない現実など脳腫瘍特有の体験をしながら,周囲の人との関係性のなかで,取りきれない腫瘍を何としてでも取りたいとわずかでも望みを持ち続けているプロセスが明らかとなった。
    考察:看護実践への示唆として,患者の意思決定支援,教育支援,入院前から退院後まで継続した支援を行うためのシステム整備の必要性が得られた。
  • 久松 美佐子, 堤 由美子, 福崎 伊豆美
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_923-5_934
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/06/28
    ジャーナル フリー
    [目的]本研究は,化学療法で生存期間が延長した進行がん患者の配偶者の闘病中から死別後までの体験を調査し,その体験の特徴を明らかにすることである。
    [方法]配偶者遺族に半構造的面接を行い,質的帰納的に分析した。
    [結果]配偶者は,死別前に【現状維持の期待の膨らみ】をもつ特徴があることが明らかとなった。その後,死別が免れないことを意識し出した配偶者は,死別後に【ひとりの悲しみの殻にこもる】体験のあと【ひとりでも生きていく努力】を行っていた。しかし【現状維持の期待の膨らみ】が持続した配偶者は,【生き続けられることへ傾倒】し,死別後も【生きていたころへ固執】し【平然とした日常の装い】に至っていた。
    [結論]死別前に配偶者が治療効果にどれだけ期待を寄せているか把握し,支援することの重要性が示唆された。
  • ─ 家族が異変に気づいてから診断を受けるまで ─
    米山 真理, 竹内 登美子, 新鞍 真理子, 青木 頼子, 牧野 真弓
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_935-5_943
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/08/20
    ジャーナル フリー
    目的:家族が異変に気づいてからレビー小体型認知症(dementia with Lewy body; DLB)と診断がつくまでの家族介護者の体験を明らかにする。
    方法:DLB者を在宅で介護する家族7名に半構造化面接法を行い,質的帰納的分析を行った。
    結果:研究参加者は20代から60代の女性6名男性1名であった。家族介護者は【生活の中での違和感】に気づき【本人の変化に対する調整】をしながら早期に受診するも原因不明と言われ時間だけが過ぎていった。幻覚などの症状が悪化し【幻覚症状や誤診による翻弄】をされ,自ら異変の理由を調べ【認知症の可能性への気づき】に至っていた。そして認知症専門医の診察を受け初めてDLBと告げられ【認知症専門医による治療への期待】を寄せていた。
    考察:DLBの症状や誤診に翻弄されることなく早期にDLBの診断を受けるために,専門職者へのDLBの知識普及が喫緊の課題だと推察された。
  • 伊藤 歩美, 岩永 喜久子, 中村 美香
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_945-5_957
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/06
    ジャーナル フリー
    目的:学部教育において統合実習を経験して大学病院に入職した新人看護師は,入職3か月期の時点で臨床現場での経験を通してどのような意識をもっているかを明らかにする。
    方法:統合実習履修後に大学病院に入職した入職3か月期の新人看護師8名を対象に半構成的インタビューを実施した。インタビューから逐語録を作成し,研究目的に合致した文脈を内容が損なわれないようにカテゴリー化した。
    結果:【就職して感じる不安・迷い・悩み・もどかしさ・緊張】【輪の中に入れてもらえて感じる自分の成長】【フォローされていた学生時代から自分でする判断へ】【統合実習の経験がもたらす安心感】【働きだして感じる看護の意味】の5カテゴリーが形成された。
    結論:対象者は,先行研究と同様に否定的な意識をもつ一方で,肯定的な意識を持ち合わせていること,さらに学生から看護師への過渡期にあり,意識を拡大させ成長段階にあることが示された。
  • 京田 亜由美, 神田 清子
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_959-5_969
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/06
    ジャーナル フリー
    【目的】在宅緩和ケアを受ける終末期がん患者の“生と死”に関する体験を明らかにすることである。
    【方法】予後半年以内で,在宅緩和ケアを受けている患者5名を対象に,半構造的面接法と参加観察法を用いてデータを収集し,Giorgiの現象学的心理学アプローチの方法を用いて分析した。
    【結果】在宅終末期患者は【残された時間は長くはないと自覚しながらも抱き続ける生への希求】と【逃れられないのならせめて“自然な死”を望む】気持ちから,【生への希求とせめて穏やかな死への望みの間の揺らぎ】となっていた。また在宅療養を支える周囲への感謝と負担感という【生にも死にもつながりうる家族や周囲の人への思い】を抱きながら,【自己を超越した存在】を意識していた。
    【結論】看護師が患者にそれまでの人生を振り返る問いかけを行うことの有効性と,家族とともに過去の看取り体験への語りを促すことの重要性が示唆された。
  • 平野 蘭子, 小山 眞理子
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_971-5_981
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/06
    ジャーナル フリー
    目的:新任プリセプターが新人看護師指導において体験する指導上の困難とその困難を乗り越えるためにとった行動や求める支援を明らかにし,指導上の困難を乗り越えるための支援を検討する。
    方法:初めてプリセプターの役割を担う看護師11名に対し,半構成的面接を行い質的記述的に分析した。
    結果:指導上の困難は新人の理解度を把握するむずかしさ,自分の知識や指導への自信のなさ,同僚からの指導の協力の得にくさ等であった。困難を乗り越えるために新任プリセプターは同期とのかかわりや指導者としての自覚等を支えに,上司や先輩への相談,同期との悩みやつらさの共有等の行動をとっており,精神的支援者の配置,指導内容や方法の伝授等の支援を求めていた。
    結論:新任プリセプターが指導上の困難を乗り越えるための支援として,指導体制の整備,同期や同僚との心理的つながりの構築,プリセプター経験を肯定的にとらえられるようなかかわりが重要である。
  • 金澤 鉄也, 山田 和子, 森岡 郁晴
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_983-5_994
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー
     本研究は,虚血性心疾患(以下,本疾患)患者の壮年期男性における入院前と退院3か月後のQOLの変化に関連する要因を明らかにすることを目的とした。
     対象者は,本疾患の治療のために4病院に入院している患者で,入院前と退院3か月後の2回自記式質問紙調査を行った。QOLはSF-12で測定し,関連要因の検討には重回帰分析を用いた。
     QOLは,入院前と退院後の間に有意な変化がみられなかった。QOLの変化に関連する要因として,身体スコアには「家族構成」「退院後1回飲酒量」が,精神スコアには「退院後症状出現の不安」が,役割スコアには「退院後の収入満足度」があげられた。
     本疾患患者の壮年期男性における退院後のケアでは,患者の状況や家族など周囲からのサポート状況,「収入満足度」を含む仕事復帰の状況,「症状出現の不安」などの精神状況を継続してフォローする必要性が示唆された。
  • ─医療安全管理者を対象とした質問紙調査から─
    池西 悦子, 飛田 伊都子
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_995-5_1003
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー
     全国の300床以上の医療施設を対象に,医療施設において実施されている医療安全教育の現状を調査した。その結果,国際的に推奨される医療安全教育内容25項目のうち「7.リスク管理(潜在的問題・有害事象の効果的な管理のための文化,過程,構造を含む)」を教育する施設が最も高率を示した。教育方法は,講義形式が最も多く採用されており,一部の教育内容では,PBL等やグループワークやシミュレーション等の演習形式も採用されていた。全職種を対象にしている教育内容は,「23.感染管理」が最も高率を示し,医師,看護師はすべての教育内容の担当者となっていた。さらに,教育内容によっては,薬剤師や臨床工学技士だけでなく,患者家族や弁護士,企業等が教育を担っていることも明らかになった。安全管理に資する職種横断型の院内教育を推進するには,医療安全の知識を体系的に学び,その教育において患者・家族と各職種が専門性を発揮することが必要である。
  • ─ 2017年の改正個人情報保護法施行までに起きた事故事例をもとに ─
    品川 佳満, 橋本 勇人, 伊東 朋子
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_1005-5_1012
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/07/24
    ジャーナル フリー
     改正「個人情報保護法」施行までに発生した医療機関における個人情報漏えい事故を分析することで,看護職者が起こしやすい事故原因を明らかにすることを目的とした。2005年4月~2017年5月までに公表された医療機関で起きた患者の個人情報漏えい事故をもとに,看護職者が関係した事故の原因について分類し,医師の関係した事故原因との比較を通してその特徴を探った。結果として,看護職者の起こした主な事故原因は,【置き忘れ,紛失】(36.8%),【不適切な持ち出し等】(27.9%),【誤送付・誤配布・郵送中の事故】(20.6%)であった。医師については,【不適切な持ち出し等】(50.5%),【置き忘れ,紛失】(28.6%),【盗難】(14.8%)であった。医師の場合は,ルール違反の意識ある行為が事故につながったものが中心であったが,看護職者の場合は,自らのミスにより発生した事故が多いという特徴が現れていた。
  • t検定におけるd族効果量の報告状況とその普及に向けた課題
    長島 俊輔
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_1013-5_1019
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/12/14
    ジャーナル フリー
    電子付録
     APA論文作成マニュアルでは,研究結果に効果量の記載を必須としている。しかし,実際には,効果量を詳細に記載している論文はいまだ少なく,特にd族効果量の報告はほとんどない。そこで,本論文ではAPA論文作成マニュアルを採用している日本看護研究学会雑誌を対象に,d族効果量(Cohen’s d,Hedges’ g,Glass’ Δ ,gadj,dD)の報告状況を調査した。2012年から2016年に掲載された論文のうち,t検定を用いた論文を調査対象とした。結果として,t検定を用いた25の論文のうち,d族効果量を報告した論文はなかった。日本看護研究学会の知名度も考慮にいれると,この結果は日本の看護学分野全体でも効果量に対する認知が低い可能性を示唆している。効果量による研究の考察は,看護学研究のさらなる発展に寄与するものであり,今後,看護学分野でも効果量の記載を重要視していく必要がある。
  • 山田 理絵
    2018 年 41 巻 5 号 p. 5_1021-5_1032
    発行日: 2018/12/20
    公開日: 2018/12/21
    [早期公開] 公開日: 2018/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:看護師の直観に基づく意思決定に関する研究の動向を整理し,今後の研究課題を明らかにする。
    方法:PubMed,MEDLINE,CINAHL,医学中央雑誌Web版を用いて“intuition(直観)”“intuitive”“decisionmaking(意思決定)”“nursing(看護)”“nurses(看護師)”をキーワードに2017年9月までに発表された論文を検索し22件をレビューの対象とした。
    結果:22件の文献を分析した結果,【直観に基づく意思決定と経験】【看護実践における直観に基づく意思決定】【直観に基づく意思決定を育むストラテジー】の3つのカテゴリーが抽出された。介入研究は見当たらず,探索的研究と記述的研究のみであった。
    結論:今後は直観に基づく意思決定の思考プロセスの探究のため,他の学問分野と協働しその構造を具体的で簡潔に提示する必要がある。
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