2022 年 45 巻 2 号 p. 2_231-2_244
目的:総合病院で働く男性看護師が看護師からのセクシュアル・ハラスメント(以下,SH)被害を受けたのち,働き方を構築するプロセスを明らかにする。方法:SH被害経験のある男性看護師14名に対して半構造化面接を行った。得られたデータを逐語録に起こし修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手順で分析を行った。結果:分析の結果,21の概念が抽出された。男性看護師は自身の経験から,性被害・加害の両義的な当事者性がわかると,強者であらねばならない女性看護師を理解するに至り,職場でSHが発生する意味を捉えられるようになっていった。結論:男性看護師は加害者との社会的相互作用によって対処行動が培われたり,職場内の力関係を把握したりするようになっていった。SHを経験した男性看護師が働き方を構築するプロセスとは,女性優位の職場環境において権力構造を理解し自己の成長へと昇華する防衛機制であった。